家族・くらし

いつでもできるご先祖供養は?

新型コロナウイルス感染拡大を受け、日本各地だけでなく、世界中で多くの人たちが行動に制限を受けています。たとえば、ご先祖様へのお墓参りもその一つです。国や自治体からお盆や年末年始の帰省を自粛するように呼びかけられていることもあり、仕方ないこととはいえ、もう長いことお墓参りに行けていないとお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、お墓参りだけがご供養と考えるのは誤りです。大切なのは相手を想う気持ちであって、お墓参りという形式にこだわる必要はありません。

お墓参りだけがご供養ではない

お墓参りだけがご供養でないことは、供養の由来を考えてみれば明らかです。供養とは仏教に由来する言葉で、もともとは仏への捧げものを指しました。仏とは、現在一般的に考えられているような死んだ人を指す言葉ではなく、仏陀(ブッダ=覚者)の「仏」を意味します。つまり、もともとは悟りを開いた人を指す言葉です。

それが、日本に伝わり長い時代を経るなかで、日本にもともとあった祖先崇拝の慣習に結びつけて考えられるようになりました。そうやって、いつのころからか亡くなった方やご先祖様の冥福を祈ることを「供養」と言うようになったのです。

ですので、お墓の有無は関係ありません。現在でも故人の冥福を祈る行為であれば、お墓に参らなくてもそれは供養と呼んでいいはずです。さらに、仏教とは関係のない風習とも合わさって、今では人間以外も広く供養の対象になっています。針供養などのように、物に対しても使われている言葉です。

このように、現在はさまざまな意味で使われるようになったのですが、ここでは、一般的な考え方をまとめておきましょう。まず、墓参りが必須ということはありません。故人が安らかであるように願う気持ちが大切ですので、そうした気持ちを込めて亡くなった方のことを想うだけでも十分だと言えるでしょう。

もちろん墓参りには墓参りの良さがあります。例年のように正月やお盆などに家族で一緒にお墓に訪れることは、家族の絆を深める行為でもありますし、その機会に親から子へと一族の歴史が伝えられるということもあるでしょう。こういう家族の絆や一族の歴史を感じることも、供養の目的として良いはずです。

また、亡くなった方に対してだけでなく、そうやって亡き人を想って祈りを捧げる自分にとっても善い行いではないでしょうか。自分の人生をもう一度見直し、そこから新たな生の第一歩とすることもできるはずです。相手を想う気持ちは、今の自分を見つめ直す気持ちにもつながります。

とはいえ、やはり墓参りのことが気になる場合もあるでしょう。たとえコロナ禍でなくても、経営者なら仕事の都合でなかなか時間が取れず、もう長いこと墓参りに行けていないという方は少なくないはずです。そんな方におすすめのサービスとして、最近では墓参りの代行サービスが登場しています。

「そんなことまで代行してもらっていいの?」と思うかもしれませんが、そもそも墓参りや寺社仏閣への参詣の代行は、「代参」と言って古くから行われてきたことです。江戸時代には多くの人が伊勢神宮に参詣しましたが、三重県の伊勢神宮まで徒歩で行ける人はそれほど多くなかったので、代表者を決めて代参してもらうということがよくありました。

では、現代の墓参り代行サービスはどのような内容なのかというと、サービスを提供する業者によって詳細は異なりますが、どの業者でも共通していることがいくつかあります。まず、お墓にお参りをする際に、現状の写真を撮影し、依頼者に送付してくれるサービスです。

また、お墓とその周辺の清掃もやってくれるところが多いです。草取りや落ち葉の掃き掃除などはだいたいどこもやってくれるでしょう。墓石をピカピカにするには専門的な技術が必要になることもあるので、墓石のクリーニング業者に仲介してもらえる場合があります。

お供え物も可能です。仏式のお墓であれば線香もあげてくれるでしょうし、お花以外に故人の好きだったものをお供えしてもらえることもあります。もちろん霊園ごとの決まりに従い、片付けまでやってくれるので安心です。

もし、「墓参りには行きたいがなかなか行けない。代わりに誰か行ってくれないかな?」とお考えであれば、墓参り代行サービスを利用してみてはいかがでしょうか。

オススメの映画作品

亡き人を偲ぶという意味では映画もおすすめです。たとえば、ピクサーによる2017年の映画『リメンバー・ミー』はいかがでしょうか。

メインターゲットは子どもですが、大人が見ても十分楽しめるクオリティーの高さです。メキシコの「死者の日」をテーマに、亡くなった方への想いを中心に家族の絆の大切さを再確認できる内容となっています。

コロナ禍による自粛でお墓参りに行けない時は、ぜひご家族で一緒にこれをご鑑賞ください。きっとご先祖様への想いを新たにし、今できる供養について考えるきっかけになるでしょう。