開運

立春から始まる新たな一年

コロナ禍において、2021年は初詣の様相も例年と異なりました。神社からも密を避けるために、12月のうちに先に参拝する「幸先詣」という方法や、三が日に人が集中しないように分散参拝を呼びかけたなどの話も聞かれます。

ただ、人混みを避けろと言われても、「それならいつ参拝に行くのが正しいのだろうか?」と疑問を抱く方も少なくないでしょう。そこで、2021年は立春の日に当たる2月3日に初詣されることをおすすめします。

旧暦の新年は「立春」から

なぜ2月3日がよいのかというと、この日が旧暦では新年だからです。日本に暦が初めて入ってきたのは、およそ1400年以上前と言われています。中国から伝来されたのが最初ですが、それ以降、変遷をたどり、いまでは「新暦」と呼ばれる太陽暦が用いられているのはご存じのとおりです。

新暦の太陽暦に対して、旧暦は太陰暦と言います。日本では江戸時代までは旧暦が中心でしたし、正確には明治に入って以降も、およそ明治5年ごろまで旧暦が用いられていました。その旧暦での新年に当たる日が立春なのです。

では、なぜ今は使われていない旧暦の新年に合わせて参拝に行くのがよいかというと、それは、気学では旧暦である太陰暦が基準として用いられているからです。旧暦には「二十四節気」という季節を表す節目があります。その節目ごとに季節が変わると考えられており、それゆえ「節分」と言うのです。

この二十四節気では、立春をスタートとする月を「正月」、つまり、1月として考えます。今もカレンダーによっては二十四節気の記載があるものもあるため、見たことがある方も少なくないでしょう。いつ参拝に行くのもよいですが、これを機に日本の暦の原点である旧暦の新年、すなわち立春に初詣されてみてはいかがでしょうか。

なお、節分といえば誰しも2月3日だと思うのではないでしょうか。ところが、実は2月3日が常に節分とは限らないのです。冒頭で2021年は2月3日が立春だと述べました。立春とは節分の翌日ですから、これだと2月2日が節分になります。しかし、これは間違いではありません。

なぜなら、太陽を地球が1周する期間はぴったり365日ではないからです。正確には365日には6時間近く足りない期間です。それなのに、1年を365日で計算していると、そのズレが年々大きくなってしまいます。1年に6時間ズレるなら、4年で24時間、つまり丸1日のズレです。そのため、それを解消するよう4年に1度の閏(うるう)年が作られたのでした。

ただ、4年に1度、閏年で1年を366日にして調整すると、1年でずれるのは6時間弱なので、約45分増やしすぎるという問題が生じます。わずかな時間ですが、400年立つとほぼ3日分増えるほどのズレです。そのため、現行の太陽暦であるグレゴリオ暦では、400年で閏年を3回減らすことにしています。いつの閏年を減らすかというと、100でぴったり割れる年です。

しかし、ここでまたややこしいのが、400年で3回分減らすため、400でぴったり割れる年だけはいつもどおり閏年とするという決まりです。つまり、西暦2000年は400で割れるため、100で割れる年なのに閏年がありました。この結果、その前後の世紀では、いろいろ日付がズレやすくなっているのです。2021年の場合、2月2日が節分となっています。ちなみに、それ以外の日付もズレており、たとえば2021年の春分は3月20日です。

本来のお参り先は「恵方」

旧暦の新年は立春であり、2021年だと2月3日だということがわかりました。ぜひこの日に寺社に参拝に出かけてみてはいかがでしょうか。ところで、もう一つ気になるのがお参りの方角です。

恵方については恵方巻きで一般にも知られるようになりましたが、節分の日に太巻きを食べるときだけでなく、ぜひ参拝もこの方角を意識してお参りしましょう。恵方とは、福徳の神様である「歳徳神」がいる方角とされており、その方向に向けて行動をすることでご利益が得られると信じられています。2021年の恵方は丙(南南東やや南)ですので、ぜひご自宅からその方角に当たる寺社にお参りしましょう。

恵方の寺社にお参りすることを「恵方参り」と言います。恵方参りだからといって特別なお参りの仕方が決まっているわけではありません。ただ手を合わせてお参りするだけでも大丈夫です。

その際、手を合わせてから、自分の名前と住所を告げて、恵方参りに参ったことを告げるとなお良いでしょう。また、願い事をする場合はよくばらずに一つだけ、しかも、なるべく具体的にお願いするのがポイントです。もちろん、鳥居をくぐる際の一礼や手水で手を洗うことなども基本マナーとして押さえておきましょう。

すでに初詣に行った方も、2021年からは1年の始まりである立春にもぜひお参りに行かれてはどうでしょうか。コロナ禍という未曾有の事態だからこそ、原点に帰ることをおすすめします。